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悲しみを癒す10箇条
●東洋英和女学院大学人間学部・平山正実教授「悲しみを癒すための10ヶ条」に基づいて本人が悲しみを癒すための10箇条について、ご案内します。

長年にわたり、伴侶を亡くした方々と面接相談をしてこられた、東洋英和女学院大学・人間科学部の平山正実教授は、悲しみを癒すための10箇条を提唱されています。
これを参考とさせて頂きながら、説明していきましょう。

第1条 悲しみにはいろいろな側面があることに気付く
「優しい」という言葉を分解すると「人に憂いがある」ことであり、憂うることによってはじめて「真の優しさ」といえるのです。つまり、悲しみや憂いは価値あるものであり「悪」であったり除去すべき対象としての一面だけではないのです。
伴侶の死について涙することは愛が浄化された姿であり、悲しまれ、惜しまれて死んだ伴侶も遺された者も幸いなことなのです。悲しみのとらえ方をこのようにとらえることが悲しみから解放される必須条件の一つなのです。

第2条 自分を見つめ直す
悲しみに対して「自分の立場」でしか考えないのはいけないということです。言葉をかえていうならば、自分という人間の限界性を認め 、「他者の立場」「人類全体の立場」など、何らかの自分の立場を超えた立場から自分の伴侶を亡くしたことについての体験を普遍化し、共有化する中で見直しをしてみようということです。
このように考えることによって「あの時ああしてやればよかった。こうしてやればよかった」という自分を罰するような態度、それはほとんどの場合、非現実的で、自分を神の立場にまで押し上げることのような傲慢な思いこみなどから解放され、「あれは医者のせいだ」「先に死んだ伴侶が悪い」という他を攻めるような態度から解放されるのです。

第3条 悲しみを表現してみる
自らの悲しみを何らかの形で自己表現することは癒しとなります。最もてっとり早い方法は、その悲しみをよく聞いてくれて、しかもしっかりと受け止めてくれる相手がいることです。
自分の悲しみを表現することなく抑圧していると、後になって病的な形で爆発することもあります。
他に表現する方法として追悼集を出したり、和歌や俳句によって表現するということもよいでしょう。

第4条 悲しみを癒すための組織を利用してみる
今日の日本では、伴侶を亡くした人達でつくる団体や電話相談などを行うボランティア団体があります。この内容を提供している通称「ほほえみネットワーク」も、そのボランティア団体の一つです。
これらの活動に参加してみる ことは、悲しみを癒すために大きな力になります。
人間は同じ体験を共有した者どうしは、不思議と心が通じ合うものです。
悲しみの感情というものは、誰でも持つもので決して病的なものではありません。
しかし、悲しみが深く強くなると病的な症状をあらわすこともあります。
例えば、伴侶の死をどうしても受け入れられず「死にたい」と訴えたり、その悲しみに伴う怒りが外に向けられ、周囲の人々の心や身体を傷つける恐れがあるときは専門的なケアが必要でしょう。
このような、病的な悲しみの反応を呈する方は、亡くなられた伴侶との関係や遺された家族同士の人間関係の“しこり”が原因になっていることが多いのです。とくに、家族間で和解がなされず後悔のみが前に出ているような場合は、誰かとりなし役がいて調停したり、和解の労をとる必要がでてきます。

第5条 過去の苦しい体験を振り返ってみる
人間は歴史と共に歩む存在です。 それだからこそ、過去から影響を受けない人はいません。
心理療法の中に過去の思い出を活かす 回想法というものがあります。
人は誰でも長い人生の途上において苦しい体験が一つや二つはあるものです。
失恋、離別、死別、受験の失敗、解雇、破産、病気など、何らかの挫折した体験をもっています。こうした体験から自分はどのようにして立ち直ったかを回想して、心理的プロセスを詳細に分析し、立ち直っていったキッカケは何か、立ち直りの障害になったことは何かを検討してみるのです。
こうすることによって、死別の悲しみから脱出するヒントを見つけだせるのです。
また、伴侶を亡くした人による会であるウィドウミーティングのようなものに参加し、他人の同じような体験を聞くことによってヒントを見つけだすこともできます。

第6条 亡き人が遺したすばらしさを見つける
亡くなった者が遺された者に残してくれたものはないか、考えてみることは大いに意味があるのです。
それは、遺された者は、亡き人からの「贈り物」によって慰められ、悲しみから癒されるからです。

ここで、会員の一人がある機関紙に載せたエッセイから一部を紹介します。
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「妻は、私に大きな大きな贈り物をたくさん遺してくれました。彼女のすばらしい生き方、心の接し方、そして人を愛することの素晴らしさ、人間の生き方の奥深さ、妻の死によって私ははじめて人の情、ほんとうの心の優しさ、温かさを一段と身に沁みて感じるようになりました。」
「この世に生を受け、こんなに素晴らしい女性と出会い33年間生活を共にできたこと、こんな幸せなことはありません」
「妻の姿・形はもうこの世にありません。肉体は滅びても心は永遠に生きている。まさに名言です。どんなときでも私の心に深く刻み込まれた妻の優しい心とほほえみが、私に生きる勇気と活力を与えてくれるのです。ほんとうにありがとう。 亡き妻に心から感謝」
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以上が、その要約です。
この筆者は、亡くなった妻が自分に大きな贈り物をしてくれたと述べています。

「贈与の愛」の具体的な内容とは、妻の生き方であり、心の接し方でした。
心の優しさ、愛することの素晴らしさは、遺された者に生きる勇気と活力を与えてくれる、と記されています。その意味で、亡くなった妻は現在もなお、遺された人の中に生きているといってよいでしょう。
確かに伴侶を亡くすことによって失うものは多いと思います。
しかし、失うことによってはじめて鮮明に見えてくるものもあるのです。
それを見つけたときに、悲しみの一部は癒されていきます。

第7条 死を喪失ではなく解放としてとらえてみる
夫婦は共に生きている間は法的にも倫理的にも拘束されています。
しかし、遺された伴侶は見方を変えれば、まったく拘束がなく自由ということもできます。
自由が得られるということは、自分が 思ったように思う存分生きられるということでもあります。
亡くなった人に縛られることなく、死別の体験を解放として受け取っていく考え方もあることを記憶しておく必要があるといえるでしょう。
そして、このことが悲しみの癒しの一端となってもいくのです。

第8条 夢のリラックス効果に注目してみる
夢は覚醒と睡眠との“中間”状態にあるとき最も見やすいといわれています。
この“中間”は自己超越した場でもあるのです。意識があり目ざめた状態のときは理性が働く場でもありますので、他者に対する怒りとか、自分への罪悪感に悩む可能性があります。
しかし、夢は理性から解放され、リラックスした場であり、自己超越的な場なのです。ですから、遺された人は夢の中でのみ亡くなった伴侶といきいきとした出会いを経験することができるのです。悲しみ、悩み、病んでいる人が 夢の中であっても喜びと安らぎの体験をすることは心が癒され、悲しみから解放される処方箋のひとつでもあるのです。

第9条 悲しみを和らげる信仰を考えてみる
信仰のあるなしにかかわらず、亡くした人への思いは日を追ってますます強くなり、悲しみの感情が深まっていきます。しかし、信仰があれば死についての考え方、死の意味について、信仰のない人と比較してちょっと異なる何かを持つことができるはずです。クリスチャンであれば「この世での役目を終えたので神のもとに召されたのだ」と考えることができます。仏教徒であれば「この世の労苦から解放され、仏の住む彼岸の世界、極楽に行ったのだ」と考えることができるのです。
そうすると、亡き人の居場所がはっきりし、遺された者の悲しみの癒しのために大きな役割を果たしてくれるのです。特定の宗教でなくとも、信仰の考え方を参考にしてみることで、今まで気づかなかった伴侶の死の意味に気づくことができるかもしれません。

第10条 悲しみを社会貢献に活かしてみる
悲しみの社会化というのは、遺された人が亡くなった人の意志を生かそうとして何らかの行動を起こすことですが、一種の社会貢献ともいえるものです。
例えば、アメリカでは、拒食症で早死した歌手のカレン・カーペンターの両親が、遺産の一部を拒食症の研究機関の設立のために使いました。
ガンで死んだ俳優のジョン・ウェインは、生前に全国を回り、ガン研究基金を集め、彼の死後、遺族がそのお金でガン研究所をつくりました。

このような有名人でなくとも、たとえば「ウィドウ・サポート協会」(通称、ほほえみネットワーク)でカウンセラーとして活動している方々も悲しみを社会化した例といえましょう。
カウンセラーの方々は同じ体験を持ち、そして、その悲しみから一応立ち直り、乗り越えられた方々なのですが、 同じ悲しみの中にある人達を少しでも助けてあげたいという思いから、そして、その行為を通じて自分たちもさらに癒されたいから、というような動機でボランティア活動をされているのです。

いずれにしても、悲しみにまけ、閉鎖的になっていくのではなく、その悲しみに囚われることなくもっと心を開き、その悲しみを社会化する中で、亡くなった方の死のもつ意味をさらに深めていくことが遺された者の悲しみを癒すエネルギーになっていくのです。

以上、長くなりましたが、悲しみを癒すための参考としていただければ幸いです。

この文章・図表については、「夫・妻の死から立ち直るためのヒント集」(三省堂刊)「配偶者を喪なう時」(廣済堂刊)共に河合千恵子編・著により構成しました。

 ※平山正実教授(東洋英和女学院大学・人間科学部)の、「悲しみを癒すための10箇条」についての   詳しいことは「ウィドウ・サポート協会/ほほえみネットワーク」までお問合せ下さい。


ウィドウ・サポート協会(通称、ほほえみネットワーク)
〒173-0014 東京都板橋区大山東町7-5 ヴェネフィット大山101号室
TEL 東京03-5375-5348
FAX 東京03-5375-5349 です。
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電話相談は無料です。

(この項目の情報提供:ウィドウ・サポート協会/ほほえみネットワーク)

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